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 まつもと社労士事務所

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相談内容

業務の引き継ぎを一切せずに、突然会社に来なくなった労働者Aより、翌日電話にて残っている有給休暇10日分の使用を求める連絡が事務員にあった。社長が労働者Aの携帯電話に連絡を入れるが、着信拒否をしており労働者Aと直接話ができず、今後の対応について相談を受けた。

対応

この時点では会社と労働者Aとの雇用関係は解消されておらず、労働者Aの主張も事務員を経由したもので真偽のほども定かではない。そのため、まずは会社としての責務を果たすようアドバイスをする。具体的にはできる限りの方法で“連絡をとる”ことである。
面倒くさい、忙しい、話したくない等々いろいろと理由があるかもしれないが、労働トラブルを有利に解決するためには、初動が大切である。

具体的経過

再度、労働者Aの携帯電話に連絡をするもつながらないため、自宅に電話をする。労働者Aの妻が電話に出たがAは不在とのことなので「本日Aが出社をしておらず、大変心配している、すぐに社長に連絡をするか、会社に来るように」と伝言を頼む。
 翌日労働者Aから社長宛てにEメールが来る。内容は「会社に行くつもりはなく、今後自宅には電話をしないで欲しい、Eメールのみでのやりとりをしたい」というものであった。社長からは「退職の意思は了承したことと、社会保険等の手続き上退職日を決めて欲しい」旨の連絡を入れるようアドバイスをする。
 3日後に労働者Aより「出社しなくなった日から10日間の有給休暇の請求をし、翌日に退職をする」旨の連絡を受けた。社長からは「退職日を了承したこと。有給休暇に関しては就業規則の定めにより“事前に会社指定の書式を提出し申請すること”となっているため、経過している3日については認められないこと。残りの7日については出社し、所定の退職手続きをしたうえで、有給休暇の申請書を提出すれば認めること。」の旨の連絡を入れる。労働者Aは出社を拒否し、3日後にメールと同様の内容の内容証明郵便を送ってくる(恐らく労働相談窓口のアドバイスと考えられる)。
 その後、労働者Aが指定した退職日に退職手続きを済ませた。給与計算は有給休暇の使用を認めずに賃金を計算し、給与支払日に支払いを済ませた。
労働者Aは労働基準監督署にも相談をしたようであるが、年次有給休暇の記載のある労働基準法第39条では、有給休暇の取得の方法までは言及しておらず、会社が合理的な方法を定めていれば会社の所定の方法が認められる(現に労働者Aは前月に申請書による有給休暇の請求をしている)。そのため労働基準監督署は労働基準法違反の可能性を問えず、個別労働紛争を解決するあっせんを勧め、労働者Aはあっせんを申請することとなった。
 あっせんの場合、所轄の労働局の紛争調整委員会より“あっせん開始通知書”が突然送られてくるが、あっせんには参加の強制力はなく、参加・不参加は事業主の自由である。今回の事例に関しては、労働者Aは退職に際しすべての顧客データを消去し、同業他社へ就職することも発覚したこともあり、労働者Aには真摯な姿勢がみられなかった。そのため、会社は自らの責務を果たしているにも関わらず、労働者Aが自らの権利を主張するばかりで、自身の責務を一切負っていない一連の経過を労働局に報告し、会社としては本件は解決済みである旨を伝え、あっせん不参加の通知をした。
 その後労働者Aからは、何の訴えもなく、この事例は解決した。

結果

 仮に会社が何の処置もとらなかった場合、事務員への伝言を黙認したととられ、有給休暇の使用を認めざるをえなかったであろう。そうなると1日分1万円×10日で10万円の支払いが必要であった。またあっせんに参加していた場合、このような事案では金銭の支払をせずにあっせんの和解が成立することはないので、両者が歩み寄っても5万円の支払いは必要であったであろう。
 このような労使紛争の中、社長にとってアドバイスを受けることができる存在がいるというのは何よりも心強かったに違いない。
 また事前に会社を守るための就業規則の整備がしっかりなされていたことも、有利に解決した一因である。
 余談であるが、会社に迷惑をかけて退職していく者に対し無駄な出費をしないで済んだ分は、在籍して頑張って働いている社員のボーナスの原資に充てられたそうである。

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